URL: http://www.sal.tohoku.ac.jp/~tsigeto/writing/
作成:田中重人 (准教授)
現代日本論基礎講読「論文作成の基礎」
東北大学文学部 2012年度 (3セメスター) 2年生対象
(時間割コード=LB32102)
<火1>133教室 (文学部棟 1F)
[配布資料セット (PDF版)]
授業内容
大学での研究 (たとえば授業での課題,レポート,卒業論文など) で要求される文章は、つぎのような条件を満たさなければなりません:
- データに基づいた論理的な推論を中心とする
- 論理構造に沿った章立てや段落分けが重要である
- 誤解をまねかないよう正確に書かなければならない
- 先人の業績と自分の意見とを区別しなければならない
- そのために文献参照の規則を守らなければならない
この授業では、これらのルールを学ぶと同時に、実際に論文を執筆し、受講者相互の批評をとおして執筆のプロセスを習得します。
成績評価
- 授業中の課題と宿題 (40%)
- 中間レポート (20%)
- 期末レポート (40%)
中間・期末レポート
中間レポート、期末レポートはそれぞれつぎのような内容にする予定:
- 中間レポート:本・雑誌記事・TV番組などなんでも批評
- 5/14(月) 12:00 までに計画を提出する。
- 5/29 授業時 に草稿を提出する。提出された草稿をランダムに配布して、相互に批評 (赤ペンでコメント)。
- コメントを参考に書きなおして、6/11(月) 12:00 までに提出。
- この最終稿が採点対象になる。
- 最終稿の内容によっては、書きなおしを指示することがある。
- 期末レポート:各自でテーマを選んで最終レポート
- 7/16(月) 12:00 までに構想と「目標規定文」を提出
- 7/24 授業時に、レポート内容について相談
- 8/14 までに提出 (詳細未定)
- 9/11 以降に
提出 返却 (詳細未定)
(いずれも現時点での予定です。授業の進行状況などによって変更する場合があります。)
中間レポート、期末レポートとも、特によいものについては、著者の同意をえたうえで、
インターネット上で公開することを考えています。
過去のものについては、
http://www.sal.tohoku.ac.jp/~tsigeto/2001/writing/
から一部たどれるようになっているので、参考にしてください。
受講者との連絡とフィードバック
- 毎回の課題・宿題は、コメントをつけて返却します (内容によっては再提出を求めることもあります)。
学期末にこれらをもう一度まとめて提出することになるので、捨てずにとっておいてください。
- 中間レポート、期末レポートは、採点後に返却します。
- レポートは、ISTU (東北大学インターネットスクール: http://www.istu.jp) のレポート機能による提出とします
- 宿題の中にも、ISTU による提出のものがあります。この場合、提出期限は 授業前日 (月曜) 正午 (12:00) です。
- 教員からの連絡は、ISTU「お知らせ」「掲示板」のほか、個人ブログ http://tsigeto.blog.fc2.com/blog-category-7.html (RSSフィード利用可) に出る場合があります。
- ISTU には、この授業の「受講申請」をしておいてください (受講者情報の自動的登録は、履修登録完了以降)
- 研究生などで東北大IDのないかたは、所属学部の教務係に相談してみてください。
授業予定
[ ] 内は教科書の参照箇所 (セクション番号)
- この授業の概要
- 何の役に立つのか
- 参考文献の紹介
- 各自の興味・文章執筆経験について調査
2. 論文の基本形 (4/17) [3.2-3.4, 10.3]
- 論文全体の構成
- 表題のつけかた
- 本文の構成:序論−本論−結論
- 本論の基本形
- セクション (節) をたてる
- トピックと関連情報
- パラグラフ (段落)
- トピック・センテンス
- パラグラフの配列
- 読点の打ちかた
- その他の記号
- テーマをしぼり込む
- 目標規定文
- 先行研究の探索
- メモ、スケッチ、構成表、マインドマップ
★中間レポート 相互批評
この段階での原稿を提出し、相互批評 (赤ペンでコメント)
→コメントを参考に書きなおして、2週間後に提出
- 中間レポート草稿について講評
- 表題と副題
- キーワードを選ぶ
- 注
- 期末レポートについて
- 概念と用語
- 事実と意見をわける
- 根拠のある意見
- 正確な文章
- 文献の種類
- 書誌情報:本や雑誌を特定するには
- 灰色文献
- 文献表のつくりかた
- 文献参照の目的
- 直接引用と間接引用
- インライン引用とブロック引用
- 文献表との対応づけ
- 「孫引き」について
- 情報をめぐる利害
- 秘密をまもる権利と義務
- 経済的利益の保護
- 著作権問題
- 引用の制限
- プライオリティの尊重
- 「差別表現」をめぐって
7/24 は、課題返却と期末レポートについての相談
教科書と参考文献
教科書
この教科書に欠けているもの:
- 入門者向け情報
- 系統的な練習
- 文科系の作法
- 日本語の文法
- ワープロによる執筆プロセス
- 研究の糸口
他の推薦図書
入門者向け:
- 斉山弥生・沖田弓子 (1996)『研究発表の方法』凡人社.
- 二通信子・佐藤不二子 (2000)『留学生のための論理的な文章の書き方』スリーエーネットワーク.
系統的な練習:
- 浜田麻里・平尾得子・由井紀久子 (1997)『大学生と留学生のための論文ワークブック』くろしお出版.
文科系向け:
- 斉藤孝・西岡達裕 (2005)『学術論文の技法』(新訂版) 日本エディタースクール出版部.
- Gibaldi, J. (1998)『MLA英語論文の手引き』北星堂書店.
日本語文法に関して:
- 大野晋 (1998)『日本語練習帳』岩波書店.
- 井上優 (2002)『日本語文法のしくみ』研究社.
- 各種国語教科書・参考書
ワープロによる執筆法:
- 木村泉 (1993)『ワープロ作文技術』岩波書店.
- ワープロソフトの解説書・マニュアル類
研究の糸口のつかみかた:
- 渋谷恵宜 (2000)『卒論応援団』クラブハウス.
- 戸田山和久 (2002)『論文の教室: レポートから卒論まで』日本放送出版協会.
レポート全般:
- 田中重人 (2005)「レポートを作成する」『人文科学ハンドブック: スキルと作法』東北大学出版会, pp. 74-80.
- 酒井聡樹 (2007)『これからレポート・卒論を書く若者のために』共立出版.
必要な準備
国語辞典 (授業中に使う場合がある)
赤ペンおよびその他の色のペン (授業中に使う場合がある)
レポート執筆用にパソコンを使える環境を確保すること
- 手書きでは推敲がむずかしい
- 当授業のレポートは自筆不可
- 各研究室・コンピュータ実習室などを積極的に利用する
課題とレポート提出にISTUシステムを利用する。
使いかたをおぼえておくこと。
宿題
附属図書館 (本館2号館) 所蔵の学術雑誌からつぎの条件を満たす適当な論文を探し、コピーをとる。
次回の授業で使うので、持ってくること。
- セクションがすくなくとも4つ以上にわかれていること
- 論文末尾に文献一覧が付いていること
つぎの部分をコピーすること
- 論文の全体
- 雑誌の名称や出版者がわかる部分 (表紙など)
- 雑誌の編集方針や論文掲載基準がわかる部分
予習
教科書 3.2-3.4節 (35-50ページ), 10.3節 (196-213ページ) を読んでおくこと。
出口
過去の授業:
今年度の授業:
TANAKA Sigeto
Created: 2012-04-09.
Updated: 2012-04-10.
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