URI: http://www.sal.tohoku.ac.jp/~tsigeto/2013/occ/o131025.html
田中重人 (東北大学文学部准教授)
2013.10.25
現代日本論概論「現代日本における職業」 2013.10.25
つぎの各項目間の関係について整理して述べよ
「就業規則」…… 賃金・労働時間などの労働条件についてのその職場での統一基準、職場のルール、違反があった場合の罰則などについて定めた規則。
ふだん10人以上の労働者を使用している使用者は、就業規則を作成して労働基準監督署に届けなければならない。
就業規則には、労働時間、賃金、退職などの重要事項を必ず定めなければならない。また、退職手当、臨時の賃金、食費などの労働者負担、安全・衛生、職業訓練、災害補償・懲戒などの規定は、就業規則に書いておかなければ定めることができない。
就業規則の作成・変更にあたっては、使用者は、労働者の過半数を代表する者の意見を聴かなくてはならない。過半数を組織する労働組合があれば、その組合と話し合えばよい。そうでない場合は、労働者のなかから投票などの方法によって「過半数代表」を選ぶ。
過半数代表は、就業規則について、「意見書」を提出することができる。
作成・変更した就業規則は、労働者に周知しなければならない。
作成・変更した就業規則 (過半数代表からの意見書がある場合はそれも) は、各都道府県にある労働基準監督署に届けなければならない。労働基準監督署では、提出された就業規則を点検して、法律の規定などに抵触している部分があれば、変更命令を出す。
就業規則を労働者の不利な方向に変更した場合は、不利益を被る労働者の合意を得ていなければ無効になることがある。ただし、その不利益変更が企業の経営上必要であって、労働者の被る不利益がそれほど大きくなければ、効力が認められることもある。
労働基準法の第1章、第2章には、労働者の自由と平等を定める事項が並んでおり、「労働憲章」と呼ばれる。
労働者が使用者の指揮命令を受けて業務に従事している時間を「労働時間」という。
労働時間は、週に40時間、1日8時間をこえてはならない (労働基準法32条)。ただし、種々の例外がある
使用者は、労働時間の途中に、休憩時間を与えなければならない (労働基準法34条)。 1日の労働時間が6時間をこえる場合には45分以上、1日の労働時間が8時間をこえる場合には1時間以上。
また、1週間にすくなくとも1日の休日を与えなければならない (労働基準法35条)
使用者は、労働者の過半数代表と 書面での協定 を結び、労働基準監督署に届け出ることによって、時間外あるいは休日の労働を命じることができる (労働基準法36条)。
時間外・休日の労働については、25--35%の割増賃金を支払わなければならない。
6ヶ月以上続けて勤務した労働者に対しては、年間10--20日の有給休暇を与えなければならない。この日数は、勤続期間に応じて長くなる。また、週に4日以下しか働かないパートタイム労働者については、日数は少なくなる。
「賃金」とは……労働の対償として使用者によって支払われるもの。賞与・見舞金・退職金などについては、就業規則に定めがあるかどうかによって判断される。
最低賃金法に基づき、都道府県別に最低賃金 (時給) が定められている <http://pc.saiteichingin.info> 。これは各都道府県の「最低賃金審議会」が定めるもの。この審議会には、労働者と使用者側から同数の委員が参加する。
使用者が支払う賃金は、この基準を下回ってはならない。
法律情報の調べかたについては、3セメスタの現代日本論概論「現代日本における家族」 <http://www.sal.tohoku.ac.jp/~tsigeto/2013/family> の授業資料を参考にするとよい。
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