http://www.sal.tohoku.ac.jp/~tsigeto/2013/occ/o131122.html
田中重人 (東北大学文学部准教授)
2013.11.22
現代日本論概論「現代日本における職業」 2013.11.22
経済学 (Economics)……希少な資源 (resource) を利用した生産とその成果の分配をあつかう
原料 + 生産設備 + 労働 → 生産物
古典的な経済学では、生産設備のことを指して「資本」(capital) と呼んできた。
現在の経済学 (および社会科学) では、「資本」という概念はより広い意味で使われている。
人的資本には、どこででも使える「一般的」(general) なものと、使える場所・場面などが限定される「特殊」(specific) なものがある。
特に、特定の企業でだけ使える人的資本を「企業特殊的」(firm-specific) 人的資本と呼ぶ。
キャリアに関する研究は、経営学や産業心理学の分野でおこなわれてきた。
この授業では3番目の意味で使う。
これらを獲得していく過程のことを「キャリア形成」「キャリア発達」(career development) と呼ぶ。キャリア形成には、それまでの段階で何を獲得できているかが重要である。
キャリアをどのように進んでいくかは、家族、学校、企業、政府などによってある程度の道筋がつけられている。しかし、最終的に進む方向を決めるのは本人である。
「キャリア・アンカー」(career anchor)とは……
人生のあらゆる局面で、長期間にわたって参加するものについて、「キャリア」が存在する。「家族キャリア」「職業キャリア」「学校キャリア」「地域社会キャリア」など。
ある領域でのキャリアを追求すると、他の領域でのキャリアに悪影響を及ぼすことがある。
- → キャリア間の葛藤(conflict)
葛藤の起こる原因 …… 資源の有限性
- 例: 授業に出ながらアルバイトをすることはむずかしい。どちらを優先するか?
ある領域で獲得したものが他の領域でも使える場合には、葛藤は起こりにくい。むしろ、相乗効果が発揮されて、両方ともうまくいくケースもある。
一般的には、安定した身分が保障されている雇用のことを「正規雇用」、そうでない雇用のことを「非正規雇用」と呼ぶ。
労働契約は、3年以内の期間を定めて結ぶことができる (有期契約)。 契約期間が終われば労働契約も終了する (「雇い止め」という)。これは解雇ではないので、法律上規制されていない。
期間が過ぎた後、契約更新することはできる。ただし、何度も更新を続けていると、事実上「期間の定めのない」契約として法律上処理されることがありうる。 2012年の法改正で、この原則が労働契約法の条文として盛り込まれ、5年を超えての更新に当たっては、労働者本人からの希望があれば、「期間の定めのない雇用契約」に変更することが義務付けられることになった。
「パート」「アルバイト」「非常勤」「臨時職員」などの名称で雇われている場合、このような、短期契約を繰り返して更新する形態になっていることが多い。
これらに対して、期間を定めない雇用の場合、定年以外の理由での解雇は厳しく規制されている(→解雇権濫用法理)。
雇う企業 (派遣元) と命令する企業 (派遣先) がちがうケース。
このような雇用形態は古くから存在しているが、これを事業としておこなうことは、戦後になって法的に制限されてきた。この規制が緩和されたのは、1980年代後半
近年になって急速に増加している。ただし、比率としては大きいものではなく、雇用者のうちの3%程度。
派遣契約が存続している間だけ雇用関係が発生するような形態 (登録型) になっていることが多いため、派遣契約も「非正規雇用」に通常含めている。
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