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田中重人 (東北大学文学部准教授) 2019-01-10

現代日本論演習/比較現代日本論研究演習III「実践的統計分析」

第11講 因子分析のいろいろ


[配布資料PDF版]
[テーマ] 因子分析におけるさまざまな方法とその選択

因子分析の考えかた

因子分析においては、観測された変数群の背後には、直接観測できない潜在的な「因子」(factor) があると仮定する。変数間の相関関係からその背後の潜在的因子を推測するのが、因子分析である。

心理学でよく使われる。具体的には、能力や性格の研究など。

例: 子供の「学力」(=因子) を、複数の試験の点数 (観測変数) から推測する

因子分析にはさまざまな方法が混在していて、どれを選択すればいいかの一律の基準は存在しない。一般に、「色々やってみていちばんよさそうなものを選ぶ」というやりかたがとられている。また、統計的検定などをふつうは行わないという特徴がある。


因子構造の決定

因子抽出法

主成分法 (principal component)、主因子法 (principal factor) などがよく使われる。

主成分法については前回資料参照。

主因子法は、主成分法と同様のことを最初におこなったあと、繰り返し計算で、一定の基準を満たすところまで解を変形する方法である。計算の細かいところで、いろんなパラメータを指定できる。主成分法との結果の違いは、 2つ以上の変数に大きな負荷量をもつ因子だけが最終的に残る というところ。

回転法

社交回転では、因子負荷量の解釈は「パターン行列」をみておこなう。また、因子間相関の表も出てくるので、それも確認すること。

因子数の決定

因子の数をいくつに設定するかは、分析結果におおきな影響をあたえる。通常は、 固有値が1以上の主成分の数 以下にすることを大前提として、その範囲内で、いろいろ試してみて、「良い」ものを選ぶ。

累積寄与率の伸びかたをみて、伸びが鈍るところ (よく「肘」と呼ばれる) までを採用する、という基準が補助的に用いられることがある (→ scree plot)。

変数の取捨選択

どの因子にも負荷量の大きくない変数は、結果に影響をほとんどあたえていないので、分析から削除することが多い。抽出した因子によって各変数がどれくらい説明されているかは「共通性」(communality) でわかるので、この値が低い (たとえば0.3未満) の変数は削除するなど。


SPSSでの因子分析

メニューの「分析」から「次元分解」→「因子分析」をえらぶ。変数を指定したうえで、つぎのオプションを設定する。

記述統計: 1変量の記述統計量、初期の解、「相関行列」の「係数」にチェック
因子抽出: 「方法」を指定。「抽出の基準」で因子数を決める (デフォルトでは「固有値が1以上」になっている)
回転: 「バリマックス」「プロマックス」などを選択
オプション: 「サイズによる並び替え」にチェック

課題

5項目以上の意識セット変数を使って、主成分法と主因子法による因子分析を、バリマックス回転とプロマックス回転の両方でおこない、結果がどのように変わるかを考察する。


期末レポート

期限: 2/5 (火)
提出先: ISTU
内容: 相関係数、対応のある分析、多変量解析について、それぞれ適当な分析をして結果を解釈する。相関係数と対応のある分析については、推定または検定の結果をつける。データは何を使ってもよいが、SSMデータ以外のものを使うときはデータについての説明をつけること。
備考: レポート提出後に、SSMデータのコピーをすべて消去すること。レポートは、 採点後に返却する 。

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