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田中重人 (東北大学文学部准教授) 2021-05-06

現代日本学社会分析研究演習I/現代日本学演習III「現代日本における社会問題の分析」

論文の読みかたと発表内容


[配布資料PDF版]
[テーマ] 論文から「問い」「答え」「根拠」を抽出する

論文の読みかた

論文を読むときの注目点はいろいろある。意図的にちがう方法で読んでみるとよい。

  1. キーワード
  2. 構造 (章立て)
  3. 使用されているデータや資料
  4. 問いと答えと根拠

次回以降の発表は、4番目の読みかたで (授業 初回資料 参照)。


具体例

Matthias ほか (1954) によるニオブ-スズ合金 (Nb3 Sn) の超伝導 (superconductivity) の研究

問い: Nb3 Sn を何度まで冷やすと超伝導状態になるか
答え: -255度 (= 18 K)
根拠: 実験したらそうなった (図参照)

田中 (1996) によるフルタイム継続率の研究

問い: 戦後日本において、結婚・出産・育児期の女性のフルタイム継続率はどのように変化したか
答え: 20%程度でほぼ一定
根拠: 1985年SSM調査の職業経歴データによる分析の結果

田中 (2018) による「少子化」言説の研究

問い: 日本の公的な言論では、「少子化」ということばはいつどこで出現したか
答え: 1980年国会 (4月8日、参議院文教委員会での文部省委員答弁)
根拠: 国会会議録 (http://kokkai.ndl.go.jp) ほかで「少子化」を検索した結果

注意点

「問い」と「答え」1組だけで1本の論文ができるとは限らない。そうでないことのほうが多いので、いくつもの「問い」と「答え」を組み合わせて論文を書き上げるのがふつう。

研究のプロセスでは、さまざまな問いを立てて並行して答えを探していくことになる。論文を書く際には、実際に答えを出してきた順序とはちがう組み立てかたを考えること。

次回以降の発表では、その論文での中心的な問い1つにしぼって発表するとよい (時間が短いので)。


文献


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