[Tanaka's works]
[Favorite pages]
研究の現場から (工事中)
田中 重人
(東北大学文学部 日本語教育学研究室 講師)
社会学研究の実際について、書きたいことを書いています。
資料の収集・処理、
論文の執筆、
論文の査読、
営業活動などについて、かなりマニアックな自己主張をふくみます。
「おまえが書いてることはおかしい」というご意見もあるかとはおもいますが、
そのときは
著者までご連絡ください。
文献のさがしかた
もちろん
- ひとにきく
- 本や展望論文の文献リストからいもづる式にたどる
- 文献データベースで (まっとうに) 検索する
というのが基本ですが、そんな常識的なことを書いてもしかたないので、
「まっとうでない」検索の方法を紹介したいとおもいます。
まずふつうにさがしたいというむきは
へどうぞ。
データ加工法
パソコンと統計パッケージが普及して、むずかしい統計手法がかんたんに使えるようになりました。
それにともなって、分析に投入する以前のデータをどう加工するかということが重要になってきています。
いまや計量研究者の現場は
非定型データと格闘する場
なのです。
国際化
社会学はわたしたちの生活にねざした学問ですが、
そのいっぽうで抽象的・普遍的な命題化の志向性をもちます。
日常的に流通している知識を普遍的な形式に置き換えるという乱暴な作業をするわけです。
この問題がいちばん見えやすいのが、言語のかべをこえて知識を共有しようとする場合です。
日本語以外の言語で日本社会について論じる人はおおいのですが、
その際の言語表現の問題についてはあまり真剣に考えられていないように思います。
まして、日本語の論文を日本語文化圏以外の人が読む場合の問題などは、意識さえされてこなかったのではないでしょうか。
日本語が苦手な人のための論文設計ガイド
論文とは、つまるところ「オブジェクトを埋め込んだ構造化テキスト」です。
つまり論文というものは
- オブジェクト (図・表・式・命題・引用など)
- 構造 (章立て)
- テキスト (地の文)
の3要素からなります。
これらのうち、語学力がいちばん問われるのがテキストの書きかたです。
テキスト部分にかかる負荷をできるだけ減らして
オブジェクトと構造だけでものをいう書きかたを身につければ、語学のかべはずいぶんひくくなります。
ようするに、
目次と図表・式などを読めばそれだけで論文の内容が理解できるように
書くわけです。
- オブジェクト指向の論文設計 (未着手)
- フロート (未着手)
- ディスプレイ (未着手)
- 構造化とパラグラフィング (未着手)
文体をみがく
とはいうものの、やはりテキスト (地の文) で勝負せざるをえないこともおおいでしょう。
- 論文を読む順序 (準備中)
- 切り口を用意する (未着手)
- 「だ」 vs. 「である」 (未着手)
- 「したがって」は論文にふさわしい表現か (未着手)
- 逆接の3類型 (未着手)
- 正規表現による文体チェック (未着手)
- wcount.awk (未着手)
- 文章のかな漢字比率 (工事中)
- 横書き vs. 縦書き (未着手)
査読
とりあえず参考文献:
- Donald E. Knuth; 訳= 有澤 誠、1989「査読者への助言」
Donald E. Knuth + Tracy Larrabee + Paul M. Roberts; 訳= 有澤 誠、1989『クヌース先生のドキュメント纂法』共立出版。
- 日本社会学会「編集委員会規定施行細則」(1999年9月改正)。
つぎのところにのっています:
- 日本社会学会 編集委員会、1999『社会学評論スタイルガイド』、p. 40-41。
- 日本社会学会、1999『社会学評論』199号 (50巻3号): 巻末、 ISSN 0021-5414。
『社会学評論スタイルガイド』にはオンライン版
がありますが、そこには収録されていないようです。
- 情報処理学会 論文誌編集委員会
「論文査読の手引き」
つぎのページは査読制度の実情に関する興味深い論点をふくんでいます。
ただし、原典にあたるなど、裏を取る作業は、わたし(田中)はやっていませんので、
かかれている内容の当否は不明です。
査読に関していいたいこと:
- 査読者の仕事
- 査読報告書のアカウンタビリティ
- 修正要求の強さによってグレードわけする
- 技術的なチェックをちゃんといれる
- 敬体 (ですます調) をつかう
営業活動
論文は読んでもらってはじめて役に立ちます。
投稿先の雑誌がどういうひとに読まれているか、どういうかたちで情報が流通しているか
(たとえばどの抄録誌にどういうかたちで載るか) ちゃんと把握しておきましょう。
分野が近いが、当該雑誌を購入していなさそうなひとには、抜刷をおくります
(ちなみにわたしの場合、抜刷の作成数は500冊が標準です)。
- 投稿先をえらぶ
- キーワードをえらぶ
- ダイレクト・メール
- The "Worldwide" Web
初心者のための出口
わたしの書いている内容はかなりかたよっています。
社会学研究法や論文の書きかたなどについて基本的な知識をもっているひとを対象に書いているので、
そういうことを知らない初心者のかたは、まずつぎのようなところで情報を仕入れることをおすすめします。。
入門用情報源:
- SOCIUS 研究入門リソースガイド (野村一夫)
- レポートの書きかた (宮内泰介)
- 若手研究者のお経
(酒井聡樹:東北大学生命科学研究科)
- 日本語ライティングの世界 (倉島 保美)
- 木下 是雄、1981『理科系の作文技術』(中公新書) 中央公論社、ISBN 4-12-100624-0。
- 斉藤 孝、1988『増補 学術論文の技法』日本エディタースクール出版部、ISBN 4-88888-136-7。
- 木村 泉、1993『ワープロ作文技術』(岩波新書) 岩波書店、ISBN 4-00-430306-0。
- 杉原 厚吉、1994『理科系のための英文作法』(中公新書) 中央公論社。
- 化学 編集部、1994『若い研究者のための上手なプレゼンテーションのコツ』化学同人、ISBN 4-7598-0260-6。
- 諏訪 邦夫、1995『発表の技法:計画の立て方からパソコン利用法まで』(ブルーバックス) 講談社。
- 編= 森岡 清志、1998『ガイドブック社会調査』日本評論社、ISBN 4-535-58232-7。
- 編= 栗田 宣義、1996『メソッド/社会学』川島書店、ISBN 4-7610-0575-0。
- 編= 木村 邦博 + 小林 淳一、1991『考える社会学』ミネルヴァ書房、ISBN 4-623-02126-2。
- 佐藤 郁哉、1992『フィールドワーク:書を持って街に出よう』新曜社、ISBN 4-7885-0428-6。
- Academic Resource Guide (岡本真)
諸規則に関する情報源:
- 日本社会学会編集委員会、1999
『社会学評論スタイルガイド』。
- ソシオロゴス編集委員会、1983「文献挙示の〈ソシオロゴス方式〉」『ソシオロゴス』7: 200-215、ISSN。
- 中村 健一、1988『論文執筆ルールブック』日本エディタースクール出版部、ISBN 4-88888-137-5。
- American Sociological Association、1997『ASA style guide』(2nd edition)、ISBN 0-912764-29-5。
- American Phychological Association、1997『Publication manual of the American Phychological Association』(4th edition)、ISBN 1-55798-241-4。
- Joseph Gibaldi: 訳= 原田 敬一、1998『MLA英語論文の手引き 第4版』北星堂書店。
- William Strunk, Jr. + E. B. White; 訳= 荒竹 三郎、1985『英語文章ルールブック』荒竹出版。
- University of Chicago Press、1993『The Chicago manual of style』(14th edition)、ISBN 0-226-10389-7。
- 日本エディタースクール、1987『校正技術』日本エディタースクール出版部。
- 日本エディタースクール、1987『標準 編集必携』日本エディタースクール出版部。
- 日本語のローマ字表記方式のいろいろ
(海津知緒)
- 松平 直濤、1995『コードが変える出版流通:ISBNのすべて』日本エディタースクール出版部、ISBN 4-88888-229-0。
- 『JISハンドブック35 標準化:社内標準化に必要な基本的JIS』日本規格協会。
- 『JISハンドブック58 情報処理:用語・符号・データコード編』日本規格協会。
クセがつよい、情報が古い、分野がはずれているなどのために、
多少知識がついてから読んだほうがよさそうな文献:
- 清水 幾太郎、1959『論文の書き方』(岩波新書) 岩波書店、ISBN 4-00-415092-2。
- 梅棹 忠夫、1969『知的生産の技術』(岩波新書) 岩波書店。
- 野口 悠紀雄、1993『「超」整理法』(中公新書) 中央公論社、ISBN 4-12-101159-7。
- Howard S. Becker; 訳= 佐野 敏行、1993『論文の技法』(講談社学術文庫) 講談社、ISBN 4-06-159248-3。
- Mark Petersen、1988『日本人の英語』(岩波新書) 岩波書店、ISBN 4-00-430018-5。
- Mark Petersen、1990『続 日本人の英語』(岩波新書) 岩波書店、ISBN 4-00-430139-4。
- Donald E. Knuth + Tracy Larrabee + Paul M. Roberts; 訳= 有澤 誠、1989『クヌース先生のドキュメント纂法』共立出版。
- Mary-Claire van Leunen; 訳= 渡辺 昇一 + 永盛 一、1985『英語論文の書き方ハンドブック』南雲堂。
- 東大サバイバル英語実行委員会、1996『理系のためのサバイバル英語入門』(ブルーバックス) 講談社。
- 斎藤 美奈子、2002『文章読本さん江』筑摩書房、ISBN 4-480-81437-X。
辞書類:
- 大野 普 + 浜西 正人『類語国語辞典』角川書店、ISBN 4-04-012000-0。
- 1993『ロングマン英語アクティベータ』Longman; 丸善、ISBN 4-943835-15-5。
- 1995『新編 英和活用大辞典』研究社、ISBN 4-7674-1035-5。
東北大学
/ 文学部
/ 日本語教育学
/ 田中重人
E-mail tsigeto(AT)nik.sal.tohoku.ac.jp
Created: 1999-12-10.
Updated: 2002-04-23.
Sorry to be Japanese only (encoded in accordance with MS-Kanji: "Shift JIS").